組織は大きくなればなるほど隠蔽体質になるのでしょうか。警察・検察が組織ぐるみで地雷源を隠し、匿う。本来、国民を守るべき存在が、犯罪者を野放ししたまま保身に走っている姿がはっきり見えて、怖ろしくなりました。
静岡県裾野市の保育園で保育士3人が問題ある行為をしていたという事件。また、北海道西興部村の障害者支援施設で職員6人が入所者13人に対し虐待を行っていたという事件。どちらも内部告発があったにもかかわらず、隠蔽されていたようです。
「殺人犯はそこにいる」の著者・清水潔さんの戒めを肝に銘じるなら、これら2つの事件も公的な発表をマスコミがそのまま報じているらしいので、陰惨さを鵜呑みにすべきではないのかもしれませんが。
ただ、発覚まで時間がかかっているのは、それぞれの園・施設のトップにある人物が保身のために不都合な事実を揉み消そうとしたからだと、どうしても思いたくなります。
保育園児や障害者という社会的弱者が被害にあっているという点で、まずはこれ以上被害者が増えないように、安全を確保することが最優先事項でしょう。
コロナによる社会の閉塞感が背景にあるようで、今後ぞろぞろと同じような事案が出てきそうな予感がします。食品表示のごまかしも「死体を置くなら戦場へ」のことわざよろしく、一斉に各社が「うちも、うちも」とカミングアウトし、なし崩しに一掃されました。どうか上記の2つでウチ止めになりますように。
さて、この本では、冤罪を晴らすというのも大きなテーマでしたが、以前取り上げた平野啓一郎氏の「死刑について」にも、重要なポイントが述べられていました。
ジャーナリストの清水潔さんが、まるで敏腕刑事のように丹念に捜査し、真実をみつけ、様々な警鐘を鳴らしてくださっています。
警察とかマスコミとか、嫌われ者になりやすい職種ですが、一部の権威を揮いたがるマッチョが悪さをするのであって、その他大勢はコツコツとまじめに仕事に取り組んでいらっしゃるものと信じています。
それにしても、連続幼女誘拐殺人犯が、警察・検察の不都合に差し障りがあるからと、逮捕されない。これはあまりにも怖すぎます。犯人は様々な報道やこの本で自分への嫌疑を自覚し自重しながら身を潜めているのでしょうか。
人は誰でもミスを犯します。神様ではないのですから過ちは誰にでもあるのです。大切なのはそのあと。正すことです。隠していては是正されません。
組織の威信を守るために、国民の安全を脅かすなど、絶対にあってはならないのに、実は国民の命が犠牲になっている負の歴史が今なお続いています。どうか皆さん、自分で考えることを大切になさってください。