「ヴィオラ母さん」の衝撃も凄かったですが、この「ムスコ物語」はさらに輪をかける凄まじさ。いやはや、ヤマザキマリさん、最強です。
私自身も親から「勉強/宿題しろ」と言われた記憶が全くなく、小学校1年の夏休み、思いっっっきり遊び惚け、「なんで今日は8月31日なんだ? 7月31日じゃないのか???」と半べそをかきながら夏休みの宿題をやった覚えがあります。
そう、ウチの両親でありがたかったのは、失敗しても叱られないこと。ケガの有無などを心配されるだけで、そのことについての叱責はありませんでした。もちろん明らかに悪いことをしたら、こっぴどく怒られましたが。
将来についての希望も、特に示されたりしなかったですね。
川上未映子さんの強烈な出産・子育てエピソード「きみは赤ちゃん」に【犯罪者にならなければ、もうそれだけでいい】みたいな表現があって、これはもう究極だなと思いましたが、おそらく世の多くの親たちは、自分の子供に我が理想を押し付ける傾向があるような気がします。レールを敷いたり、自分が出来なかった夢を担わせたり。時に「子供は自分の所有物」みたいな考えの親に出会うと、子供が心底気の毒になります。まあ、価値観の違いではありますが。
ヤマザキマリさん。人生相談を新聞社に依頼されるほど、達観した豊富な経験の持ち主で、過激と言いたくなるようなヴィオラ奏者の母に鍛え上げらえた信念は、ご子息・デルス君にしっかり着実に伝わっていますね。私にとっては理想の親子関係。
もっとも私は、自分みたいなキャラの子が生まれても、育てる自信がない!と、気儘な一人暮らしを謳歌してきました。40歳前くらいに、子育ても楽しいかなぁと思い始めましたが、もう出会いなども減り、チャンスを逸しました。
母に「あんたのDNAを引き継いだ孫が見たかった」と言われたこともありましたが、今は、鉄砲玉のように実家から飛び出し、さんざん親に心配させた懺悔のように、親元で暮らしております。
パラサイトシングルっていう言葉もあったなあ。
デルス君、素敵なムスコさんです。笑いながら人生哲学が身につくような良書。超おすすめです!