婦人解放運動家・伊藤野枝の生涯は、以前「村に火をつけ、白痴になれ」という衝撃的なタイトルに惹かれて読んだ評伝で知っていたつもりでした。ところが、この「風よ あらしよ」の面白さ! 史実をもとにしたフィクションですが、村山由佳さんの筆にかかると、女性の登場人物は、格段に生き生きと描かれ、息遣いまで蘇るようです。
明治から大正にかけてのアナキストの活躍は、歴史で習ったはずでしたが、全然身についていないなあと、向学心が刺激されました。伊藤野枝と言えば大杉栄。さすがに名前は記憶にあります。
無政府主義や社会主義といった社会システムに興味が惹かれるのは、《コロナ禍》という現状に倦んでいるせいかもしれません。
共産党が独裁(?)し、かなり思想弾圧もあると思われる中国では、コロナがしっかりおさえこまれ、経済活動も復活しています。
一方、自由主義を標榜する欧米では、感染者の数が軒並み高い。ドイツからの情報では、警察が絶えず個人の行動を取り締まっていて、ほとんどの店舗が閉まったままの状態。日本の現状と比べると、不自由極まりない生活のようです。
コロナを、神様が「自然を顧みない人間に与えた試練」と考えている人は多いような気がします。
私は経済最優先の今の社会に末怖ろしいものを感じています。無料という言葉に惹かれて LINE が日本に浸透しましたが、情報漏えい問題で、今後大いに揉めそうです。俗に「只ほど高いものはない」と言いますが、それが如実に表れた例と言えるのではないでしょうか。
情報を取捨選択する能力を身につけるためにも、読書は良い鍛錬となります。この「風よ あらしよ」では、自分の頭で考えることを促す野枝の思想に、心を励まされます。忙しい生活に流されると、ついつい思考するのがめんどくさくなり、安いというだけでモノを買ったり、上の意見に盲順してしまいがちです。
世界で最も裕福な26人が世界人口の所得の低い半数に当たる38億人と同額の富を握っている、という眩暈がするような報告がありました。この圧倒的な経済格差を生み出したのは、今の資本主義社会。コロナはこの格差を止めるためのキッカケを与えてくれているような気がするのです。
かと言って、社会主義が正しいとはさすがに思いません。一人一人が意識を変える必要があるのでしょう。意識のルネッサンスが始まる物語を以前読んだ記憶があるので、読みなおしてみることにします。
なんだか中途半端になってしまいました。また、ご報告します。