「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で一世を風靡したブレイディみかこさん。近頃は朝日新聞に時評を書いておられたり、すっかり「海外在住のご意見番」的ポジションをキープされた感があります。
この「他者の靴を履く」もスルドイ切り口で、エンパシーについて語っています。
で、エンパシーって何? シンパシーなら分かるけど。という人が多いかもしれません。辞書によってはシンパシーもエンパシーも一緒くたに「共感」という訳が掲載されているようですが、意味は違います。
シンパシーは相手の感情に寄り添い、一緒に喜んだり悲しんだり怒ったり、というイメージですが。エンパシーは、この本のタイトルのように「他者の靴を履いてみる」。他者の感情や経験などを《理解する》能力です。
エンパシーは能力なのです。身につけるものであり、内側から湧いてくるタイプの「シンパシー」とは違います。
そのエンパシーという能力でもって、いろんなタイプの他者を理解することが、多様性の現代を生きていく上でカギとなる。ということが書かれているのですが、ブレイディさんって、とても博識の方で、例に引いている内容がバラエティに富んでいて、とても勉強になりました。
「違う世界の存在を信じる」。これは島国ニッポンで暮らす日本人にとって、少しハードルが高いかもしれません。《常識》という言葉をよく使いますが、国によって常識は異なります。いわゆる《良識》は世界共通かもしれませんが。自分が当たり前と思っていることが、他人にとっては「えっ?」となることは、身近にも結構あると思います。
「他者の靴を履く」。うまい表現ですね。皆さんもぜひ実践してみてください。