子は親を救うために「心の病」になる 精神科医が書いた名著です

心理療法(カウンセリング)によって、人はこうも見事に変われるものなのでしょうか。高橋和巳先生の達観しきった傾聴の姿勢は、日本刀の中でも極上の名刀のような切れ味で、悩みを抱えるクライアントの心のありようを読者にクリアに提示してくれます。

随分以前に、アメリカの精神科医/スコット・ペック先生のベストセラーを、ここに紹介したことがあります。

ペック先生のクライアントは、やはりアメリカ人で、日本人あるいはアジア人とは違う世界観・価値観を持っているようにも見えますが、心理学・精神医学の中にそれぞれを置いてみると、結局人間の基本は心身共にほぼ同じなのだと気づかされます。

高橋先生のこのご著書は、母子の関係性をバッサリと3つに分けていますが、例えば習近平やプーチン、急にガくンと下がりますが岸田総理など、どのような成長過程をたどると、あのような一般人には理解不能な人格が形成されるのか、私の脳みそでは、やっぱり分かりません。

カウンセリングを受けようと考える人物は、自分の何かおかしい所を、分かりたい・改めたい、と思っているわけで、自分は常に正しいという自己肯定感が強すぎる一種のナルシストは、精神科に行こうなんて露ほども考えないのでしょうね。

岩田店長が地道に普及させようと、一万円選書の定番になっているちくま文庫の一冊。生きづらさを感じている人が身近にいたら、ぜひ本書を勧めてほしいです。巨大になりすぎて、手遅れにならないうちに。