朽ちていった命 被爆治療83日間の記録

読むのにこれほど苦痛を強いられる本も珍しいでしょう。同時に私たちの、電気が十分使える快適で便利な生活は、こんなオソロシイ犠牲を伴ってまかなわれていることを、肝に銘じなければならないと思います。

国内で初めての臨界事故による被曝患者の治療全記録。

治るのなら患者自身も頑張ろうと思えるかもしれません。でも治らないと分かっていながら、苦痛ばかりを与える過酷な治療を続けるべきなのでしょうか? この本では、医師たちも、看護師の面々も、皆、とても迷っている様子が伝わってきます。日本の医療の成果を示すと同時に、未知の患者の治験データ、それも極めて珍しいケースをとるという、スペシャリスト達の飽くなき好奇心(←いい言葉が見つかりません)の追究でもあったのでしょう。

あまりに辛い文面が続く中、自分の生き方について、ある看護師の言葉に、深く共感できました。

「自分にとって大切な人とはいっぱい話をして、その人がもし口をきけなくなって、治療するかしないかという選択を迫られたときに、この人はこういう人だったからこの治療はつづけてくださいとか、この治療はやめてくださいとか、そういうことが言えるくらい、たくさんたくさん話をしたいと思うようになりました」

コロナ禍でなかなか大切な人に会えませんが、できるだけSNSに頼らず、会って話をしたいものです。

結論:原発反対! 大切な人とはちゃんと会って話をしよう!