内心被爆 福島・原町の10年のドキュメント

オリンピックの聖火ランナーが三重県を走っている日。私は憮然としながら、ドイツ人の友人からのメールに見入りました。

「この状況で五輪を開催するって、何、考えてるの?」

新型コロナウイルスが蔓延し、ワクチン接種も思うように進まない。いや、それ以前に、東日本大震災の被災地の復興が、まだ道半ばだというのに(もう10年も過ぎたというのに)。

建築業者は東北ではなく、関東に集結している。困っている人を助けるより、国の威信を示す方が大事ということなのでしょう。

私はコロナ禍を《優先順位を正させるために神様がもたらした人類への課題》と捉えています。

中でもプライオリティが高いのは、福島第一原子力発電事故の後始末でしょう。安倍前首相が「アンダーコントロール」と大見得を切って、東京五輪開催権を獲得しましたが、はっきり言って《大ウソ》ではありませんか。今日の新聞にも処理水処分方法に関する記事が掲載され、政府の方針と地元全漁連との意見の対立が浮き彫りになっています。

「内心被爆」に取り上げられている4つのエピソードは、いずれも前向きな話です。その境地に至るまでの苦難を思うと、生ぬるい生活に甘んじている自分を猛省してしまいます。特に「ほめ日記」の羽根田ヨシさんの生き方には、心の底から感動しました。

まん延防止等重点措置がじわじわと広がりそうな気配の昨今。行動が制限されている間に、被災地に関する本を読んで、多くの方に「オリンピックどころではない」という現状に気づいていただければ、と思います。この「内心被爆」は今年発行された本なので、情報も新しく、ポジティブな登場人物のお蔭で、読みながら改心できます。

福島・原町の10年の歩みを知ってください。