池井戸潤氏と言えば、やっぱりコレでしょ。

池井戸潤氏の代表作、下町ロケット

「下町ロケット」直木賞受賞作。私の記憶ではTVコマーシャルで「本」の宣伝をしていたのを見たのは、この下町ロケット・1冊限りです。直木賞は必ず読むようにしていますが、この本を読んだ時の衝撃は忘れられません。特に裁判のシーンが痛快で、その部分は何度も読み返したほどです。

世間では電子書籍がにぎわいをみせているようですが、「読み返す」というのは、紙の媒体でなくても簡単にできるものなのでしょうか? 私は気に入った箇所を反芻することが多いので、どうも電子書籍には食指が動きません。

TVドラマでは、弁護士の神谷先生を恵俊彰が好演していたのが印象的でした。TBSの日曜劇場はキャスティングも面白くて、池井戸ワールドは、毎回高視聴率を叩きだしていますね。

子どもの頃は、男兄弟と一緒に育ったせいか、仮面ライダーやウルトラマンに夢中になりました。世界征服をもくろむ悪の組織が、なぜ幼稚園を襲うという姑息な手段を使うのか、という疑問は、大人になってから生まれましたが、「正義VS悪」の図式で最後には必ず正義が勝つというすりこみは、あの番組でなされたものと思われます。

ある程度の年齢になると、遠山の金さんや水戸黄門といった時代劇にはまりましたが、これもまた「ヒーローVS悪代官」というわかりやすい図式。

そして池井戸潤氏は、「真っ当な仕事をする正義感あふれる集団VS悪」という新しい構図を提案してくれたのではないかと、私は勝手に想像しています。善の周りにいる人たちが、狡猾でダーティな面々にいたぶられ、いじめられ。でも最後には”善”が勝つというカタルシス。これが現代人にはたまらないのではないでしょうか?

ある意味ワンパターンになりがちなストーリー展開ですが、毎回新しい業界やあるいはスポーツなどが取り上げられ、読者の知的好奇心を刺激してやみません。

ノーサイド・ゲームなどはラグビー・ワールドカップの時期にあてるなど、演出も心憎かったし。

次はどんな世界を垣間見せてくれるのでしょう。池井戸作品の次のカードに期待が高まります。