「ウエットな資本主義」ってどういう意味? 鎌田實先生の造語です。

医師・鎌田實先生。膨大な量の著作がおありで、造語力がまた偉大です。この本のタイトル「ウエットな資本主義」もドライな資本主義に対して編み出されたカマタ語。「なんのこっちゃ?」と思いますが、読めばナルホド、しっかり腑に落ちます。

医療界の重鎮でありながら、経済にも造詣が深い方ですね。「筋骨隆々の上半身とあったかな血が通う下半身」という医学的な表現で、理想的な国家観を説明されています。どういう意味か気になった方は、ぜひ読んでみましょう。

長野県の下條村や島根県海士町の成功例の紹介は、私にとってものすごく興味深い話でした。将来、福祉系の事業を起こすことができたら、と夢のようなことを考えておりますが、「補助金行政の罠」という戒めは、ヒジョーに参考になります。政府のやることを鵜呑みにせず、自分のアタマを使うことが大切、ということですね。

2010年初版の本なので、出てくる政治家の名前が懐かしい人だったり、データが古かったりしますが、充分読み応えのある内容ばかり。経済が苦手な方でも、わかりやすい比喩で、消化しやすくなっています。

岸田総理にも読んでほしい。そう思わせる、ためになる1冊です。