不朽の名作「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ

祝祭と予感 恩田陸著 

507ページ、二段組みの超大作「蜜蜂と遠雷」。恩田陸さんが8年の長きに亘ってピアノコンクールを取材しながら構想を練った、栄えある直木賞・本屋大賞ダブル受賞作。”不朽の”という接頭語はおおげさではないでしょう。

誰が魅力的って、そりゃあもう、風間塵クンです。ピアノの天才少年の家にピアノがない、という設定。恩田先生、面白すぎです。

その塵クンにまた会えるという触れ込みの、このスピンオフ「祝祭と予感」。正直言うと物足りないです。あのものすごくボリューミィな「蜜蜂と遠雷」があれよあれよという間に読み終われたのですから、この短編集はあまりに短すぎます!

って文句言ってもしょうがないですね。いや、これはこれで十分楽しめる小品集です。

映画を観ていないので分からないのですが、どうしても活字に抵抗がある、という人たちには、蜜蜂・・はハードルが高いでしょう。でも、映像で気に入って、登場人物のその後に興味がある、ついては読書というものを体験してみたい。。。という方がターゲットだとしたら、この本は上手くできていると思います。深読みしすぎ?

恩田先生、風間塵クンの物語、もっとたくさん書いてください。心待ちにしている読者はきっとたくさんいるはずです。ぜひ、お願いします。