移動遊園地の驚異 ドイツのアミューズメント事情

三重県には長島スパーランドやスペイン村といったアミューズメントパークがあります。

これらは固定で、おそらく一般的な日本人に「遊園地が移動する」という発想は無いような気がします。

しかし、しかし。ドイツでは遊園地は移動します。サーカスの巨大なテントの移動にも、かなり衝撃がありますが、メリーゴーランドはもちろん、観覧車やジェットコースターなどの巨大な建造物も、ドイツでは移動します。

デュッセルドルフに住んでいた時、ライン川の広大な河川敷が巨大な建設現場になったと思ったら、遊園地が出現しました。

ドイツ語の授業で「いろいろな仕事」という短文を勉強した時、移動遊園地で働くおじさんの話を読みましたが、なんだか絵空事みたいで、ピンときませんでした。でも実在したんです。

日本で思いつくのは、養蜂家とか劇団とかでしょうか。でも規模は小さめですよね。

移動遊園地はスケールが違います。大型トレーラーに分解されたジェットコースターのレールやフリーフォールの枠や、はたまた組み立て用の重機類やら。こんなものを彷徨わせているのかと、かなり驚かされます。

もちろん期間限定の遊園地となるわけですが、その間は、街がなんとなく浮かれたような空気になり、大人も子供も精一杯、アミューズメントパークを堪能するのです。

園内に屋台のような軽食スタンドもあり、食べながら中を歩くのも、なかなか楽しいものです。

入口の警告板が、また「ドイツらしい」というか、なんというか。

『園内で起きた事故には一切保証がありません』いわゆる自己責任扱いですね。

ドイツ人も皆が皆、無鉄砲というわけではなく、いや、どちらかというと慎重というべきか。絶叫系のマシン類は、本当に頑丈にできているかどうか、しばらく観察する市民が大半です。一週間以上経過し、事故が起きていないと確認してから、危険そうな乗り物に果敢にチャレンジが始まります。

キルメスと呼ばれる、この移動遊園地が開催されている間は、市内の公共交通機関(地下鉄やトラム・バスがメインですが)は深夜運行の特別ダイヤが組まれ、ライトアップされた夜景を楽しみに、平日の夜も多くの人出となります。

一定期間、集中的に「遊ぶ」という時間を持つというのは、ある意味、上手な経済活動とも言えるのかもしれません。

ドイツにも固定式の遊園地が全くないわけではありませんが、集客には様々な知恵を働かせて頑張っているようです。日本の全国各地にある遊園地は、ちゃんと採算が取れているのでしょうか。

ディズニー・ランド(シー)と USJ は商売上手とお見受けしますが、他は大丈夫なんですかねぇ。

キルメス。旅行中に巡り合ったら、なかなかの果報者と言えるかも!