英語でイースターという復活祭は、ドイツ語では「オスターン」と言います。新しいドイツ語の生徒さんの身の安全のために、昔の記憶を掘り起こしてみます。
少し算数が入る面倒な話を書きます。テキトーに読み飛ばしてくださって構いません。
Ostern は春分を計算の基点にします。春分の後の最初の満月の日を調べ、その満月の後の最初の日曜が「復活祭」です。とにかく、毎年日が変わるんだと覚えておきましょう。
イースター前の40日間を四句節と言い、真面目なクリスチャンは肉食を断ちます。四句節が始まる日を「灰の水曜日」と言い、その前の数日間がカーニバルとなります。
キリスト教徒にとって、クリスマスは大切な日ですが、格付けするとイースターの方が大事な日になります。なにしろ磔になって亡くなったはずのイエス様が「復活」された”奇跡”の日ですから。
Carne vale とはイタリア語で「肉よさらば」という意味。40日間の菜食期間に先だって、大げさに書くと「酒池肉林」するというイメージでしょうか。仏教徒は身内がなくなるとしばらく精進料理を食べ、四十九日にやっと生臭物を口にするのと、ちょっと似ていますかね。カーニヴァル・謝肉祭の語源はつまりイタリア語なんです。
カーニヴァルの間は、普段まじめなドイツ人が、文字通り羽目を外します。日本人の「今夜は無礼講」の感覚?
で、なぜ「身の安全のために」なのか。このカーニヴァルの初日・木曜日は女性の日となり、午前11時11分以降、全ての女性は何をやっても許されるのです。いや、犯罪はまずいでしょう。確かに。でも軽犯罪法くらいは免れられるのです。この日は旗日ではないので、全ての女性社員は11時11分以降、職場を放棄してしまいます。で、アルコールを口にしながら、ハサミを手にし、男性のネクタイを切りまくるのです!
まあ、「まくる」は語弊がありますけども。街中で見ず知らずの人のネクタイを切っても、文句は言われません。旅行者といえども容赦なく被害者となります。
但し、ネクタイを切ったら、女性はその男性のほっぺに「チュッ」とキスをするのがならわしです。このキスを目当てに、ネクタイを数本持ってきて身構えている強者も中にはいます。
というわけで、このカーニヴァル初日の木曜日は、男性の方は、気に入っていないネクタイをして行くか、勇気のない方は、ノーネクタイでお出かけください。
カーニヴァルのパレードと、復活祭のお祝いのしかたのお話は、またいずれ・・・
ちなみに、2020年のカーニヴァルは2月20日(木)~2月26日(水)。オスターンは4月10日(金)~4月13日(月)です。