職場でのランチタイム。コーヒーメーカーで淹れたコーヒーの残りを巡っての発言。
「あと、もう少しだから、”こそげといて”」
「え? そういう場合は”さらえる”って言うんと違うの?」
日本語講師としては、このような会話には《ビンカン》です。調べました。
”こそげる”は「付着物を削り落とす」場合に使うようで、コーヒーのような液体には向かない表現。でも雰囲気はよく伝わりますね。
”さらえる”は「残り料理などをカラにする」という意味で、関西弁とのこと。三重県は関西圏にかろうじて入っているので、この言葉がピックアップされたのも頷けます。
さて、コロケーション、とは何ぞや。
漢字にすると「連語」となります。ある語と一緒になりやすい語とのセット。単語だけ知っていても、コロケーションが分かっていないと、うまく言葉として使いこなせない、というワケです。
例えば、外国人留学生がよく言うのが ―傘を開く― これは日本語らしい表現は ―傘をさす― です。この「傘を」と言われたら「さす」が条件反射で出てくるのが、すなわち《コロケーション》です。
もちろん一つの言葉に一種類ということはなく、一つの名詞に多くの動詞や形容詞が結びついていることも沢山あります。
たとえば「メガネ」をかける、はずす、「メガネ」が曇る。といった具合。
外国人の日本語学習者は自分の母語を日本語に直訳することがどうしても多くなるので、「味を試す」なんて言い方が出てきたりするのです。正確には「味をみる」ですね。
ドイツ語にも Fest Verbindung フェスト フェアビンドゥング 固い結びつき というのがあって、覚えるのに苦労しました。
経験を日本語なら「積む」といいますが、ドイツ語では「集める」を使うのです。
面白いと感じる心を養うことが大切ですね。
言葉の学習は奥が深くて、一生続けられる課題。これからも精進します。