麻薬と芸術

柴田錬三郎賞受賞作、夢幻花 東野圭吾著

東野圭吾氏の夢幻花は名作です。本ブログはネタバレになりますので、未読の方は本を読んでからご覧ください。

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」が波乱の幕開けをしました。女優・沢尻エリカの大麻所持による逮捕で、大幅な撮り直しが行われ、放送開始が遅れたのは、記憶に新しいところです。

「麒麟がくる」は高視聴率を保っており、NHKも安堵しているようですが、個人的には、撮ってある分だけでも「沢尻エリカの帰蝶」を観たかった。彼女の女優としての資質を買っている視聴者は、大勢いるものと思います。

あの、役に憑依するような演技力は、彼女本来の女優魂からきているのか、あるいは麻薬の力による幻なのか。実際のところはわかりませんが、観るものを虜にする力があったと、私は思っています。

呪われた大河と言えば、前作の「いだてん」もピエール瀧の大麻問題で、急遽配役の変更に見舞われました。ピエール瀧の、何かとりつかれたような演技も、今考えれば、薬の効果によるものだったのでしょうか。そのように想像すると残念です。

かなり溯りますが、チャゲ&飛鳥の飛鳥も麻薬で逮捕されました。彼の作曲した斬新な曲が、大麻の力によるもので、人知のオリジナリティではなし得なかったと考えると、非常にがっかりさせられます。

夢幻花も、「聴く者が翻弄されるほど、予想のつかない起伏に満ちた、印象的な曲」の誕生秘話に、黄色いアサガオの種が、鍵を握っています。私の貧弱なファンタジー力では想像がつかない、その魅力的な曲も、結局はノーマルな人間の発想ではなかった、ということです。

麻薬によるトリップ感というのは、一度味わうと溺れてしまうほど、究極の甘美なのでしょうね。クリエイターという人種なら、アイデアに煮詰まった時、つい手を出したくなるのだろう、くらいはイメージできますが。

スポーツのドーピングも一緒の類になるのでしょうか。

私はタバコは吸いませんが、お酒に関しては、酩酊を通り越して泥酔してしまうことがあるくらい、まだまだ未熟な弱アル中人間と言ったところ。このブログも、飲酒した時には書かないように、自粛しています。完全なアルコール中毒にならないよう、お酒を前にしても、きちんと自制できる、強い精神力を持ちたいものです。