TSURUMI こどもホスピスの記録

最近、同年代の友人が癌で他界しました。コロナ禍で葬儀等にも列席できず、自宅でその友人との書簡やメールのやり取りを再読し、当時を思い出しては涙に暮れていました。

やり残したことがたくさんあっただろうと思うと、気の毒でならず、友人の分まで前向きに生きようと、心に喝を入れている今日この頃。

そんな時にこの「こどもホスピスの奇跡」と巡り合いました。我が子が難病で長く生きられない。場合によっては数年という短さ。あまりにも酷な現実です。

こどもホスピスの奇跡 石井光太著

難病のこどもを抱えるというのは、想像以上に大変です。巷では、親が障害児を愛し育てる美談ばかりが広まっていますが、現実には絶望してしまう親や、途中から介護のストレスでつぶれてしまう親もいます。

大阪が舞台のためか、ルポタージュ風のノンフィクションには珍しく、随所に関西弁表記が見られて、少し心が和みました。

高校生の久保田鈴之介君の行動力には、うならされると共に、そのポジティブな生き方には、読んでいて涙が止まらなくなります。神は彼のような素晴らしい人物を早く手元に持ちたかったのでしょうか。同じような境遇の子どもたちばかりでなく、その親達からも絶大な信頼をかちえていたスズ君。彼の言葉で前向きに生きるエネルギーをチャージされた人は数え切れないほどでしょう。

私の友人も多くの人に慕われていました。憎まれっ子世に憚ると言いますが、好人物ほど惜しまれながら早く天に召されてしまうのでしょうか。神の采配は時に残酷です。

短い命でも、生きてきたことに価値がある。また、重病でも、多くの人に助けられながら生きていくことは、至極真っ当なことだ。そう気づかせて、重病の患者や家族の魂を憩わせる TSURUMI こどもホスピス。その存在が少しでも多くの人に知られ、協賛を受け、発展していくことを願ってやみません。