全てのヤングケアラーに捧げます「両手にトカレフ」ブレイディみかこ

ブレイディみかこさんの初の小説! そんな鳴り物入りで紹介された記事に即反応して図書館に予約(すみません、買っていません💦)し、今か今かと順番を待っていた日々。

タイトルの物騒さ、表紙の不思議な取り合わせのイラスト、等々に興味深々でしたが、ブレイディさんらしい示唆に満ちた小説でした。

大好評の「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で書けなかった世界を小説の世界で表現する、という著者の意図は、明確に結実し、心に深く伝わってきました。

貧困にあえぐ人たちは、日本だけでなくイギリスにも、いや世界中に存在し、哀しいことに、救うためのシステムが正しく作用していない。どころか、悪用する心無い人の手で、貧困層からさらに搾取するという、大矛盾。

日本の金子文子さんという偉大な女性の自伝を、主人公・ミアのリアルと並行させる時限を超越した共生関係(?)。絶妙な作りですね。ブレイディさんご自身の日英の背景を投影されたのでしょう。

ミアのようなしっかり者のヤングケアラーが、混沌に満ちた現代社会で正しく救済され、世直しのためのキーパーソンとして活躍できる世界が実現できればと、心底から願います。

弱い立場の人々が幸せを掴むためのキーワードは「教育」です。並行して読んでいたルポを、次回ご紹介したいと思います。