ルポ 差別と貧困の外国人労働者を読む

初版が2010年6月と、少し古いルポタージュ。この悲惨な状況が現在は改善されていることを切望しながら読みました。

とにかくヒドイ。外国人は人間と思われていない。まるで奴隷かロボット扱いです。

日本経済にとって都合のいい労働力とみなされていた外国人労働者。研修生や技能実習生という名目で渡日しながら、技術も知識も身につけられず、ただ単純労働に酷使されていただけ。そして恐らく私たち日本人は、その恩恵で格安の食べ物や衣類、生活用品などを享受することができているのでしょう。

それにしても、外国人に人権を認めないメチャクチャな契約を締結させ、労働力を搾取するような経営者は、一体どんな思想の持主なのでしょうか。

最近、エシカルという考え方が浸透しつつありますが、不当な生産方法を強いていると思われる企業の商品は《買わない》というポリシーを私も貫こうと考えています。

少し救われたのは、介護職に従事し、やりがいをもって喜んで働いているデカセギブラジル人もいる、という事実を知ることができたことです。願わくば、このルポが書かれた後に来日した多くのアジア系介護実習生たちも、同じ心情で頑張ってくれていることを望みます。

日本人は欧米系に引け目を感じる傾向があるように思います。だからと言って、その腹いせのようにその他の外国人を差別し、不当に扱うというのは言語道断です。自分がされてイヤだったことは他人にはしないという、負の連鎖を断ち切る行動を皆がとってくれたら、世の中は必ず平和になります。

名古屋出入国管理局でお亡くなりになったウィシュマ・サンタマリさんの死を決して無駄にしないよう、意識を改めていきたいものです。