野良猫ボブの深い友情物語「ボブという名のストリート・キャット」

鎌田實先生の1日は50時間くらいあるのでしょうか。毎日ブログを更新され、精力的に医療活動や各種支援に飛び回りながら、読書に励み、映画鑑賞も数多くされています。

鎌田先生のご推薦の映画がテレビで放映されたので、ビデオに撮っておいて観たのですが「これは原作をぜひ読みたい」と、図書館で借りてきたのが、この本です。なんとも凛々しいニャンコちゃんですね。

映画に出演していたのも、ご本人(猫)で、その演技力は堂に入ったものでした。

ボブという名の猫 副題 幸せのハイタッチ

人気が高かったようで、シリーズ2も今年上映されています。

猫と人のハイタッチ。なんともほほえましい情景です。

主人公のジェームズ・ボーエンさんがヘロイン中毒でホームレスだったという事実もスゴイですが、その状態からボブの助けを受けながら、見事に立ち直り、今では慈善事業も行っているというから、まさにオドロキ。この著書には「セカンドチャンス」という言葉が随所にでてきますが、どんなに落ちぶれても、神様はちゃんと「セカンドチャンス」を用意してくれる。それに気付くか、掴むか、きちんとモノにするかは、本人の心がけ次第だ。という渾身のメッセージが伝わってきます。ご本人が自ら体験されたことですから、実に説得力がある内容です。

ボブのような奇跡の猫に巡り合えたからこそ、セカンドチャンスを掴めたと語っていますが、そんな運命の猫と出会えた運もまた実力のうちでしょう。この本を読めば分かりますが、ボブの魅力を過不足なく表現した著者の文章力はお見事です。

2020年6月15日、ボブは交通事故で死亡したそうです。著者ジェームズさんは長い間たちなおれなかったようですが、このコロナ禍で、ボブなしで、どんな生活を送っていらっしゃるのでしょう。ちょっと心配。

イギリスのホームレス支援の一環ともいえる《ビッグイシュー》という雑誌はかなり有名なものらしく、ウィリアム王子も昨今の不況で苦しむ方々にエールを送るため、自ら「売って出た」由緒ある冊子です。その販売もジェームズさんが手がけ、ボブが大いに手助けしていました。その様子は、ネット検索していただければ、あちこちでご覧いただけます。

人生の終末に保護猫を飼うという、夢がまたひとつ生まれました。気が早いですかね。