
本屋さんの店頭で品切れ続出の上巻(文庫版。これは図書館で借りたハードカバー💦)

映画のポスターは、ここのところSNSで頻繁に見るので、本の表紙をお届けします。
いやあ、すんごい映画を創ったもんですねぇ、李相日監督。
上記の上下巻を読んでいた間中「これを映像で見たい・視たい・観たああああい!!!」と脳内が湧きたっていました。
映画監督なら、ゼッタイに映画にしてやるぞ、配役はああで、こうで、この人を・・・と、武者震いしながら読了したのではないでしょうか。
歌舞伎の女形の妖艶さ、匂い立つような艶気。吉沢亮さんの俳優魂、いや執念か。オソロシイほどに伝わる熱演でした。
宝塚の男役を演じる女性も、その凛々しさ、粋な佇まいは、オンナの男への理想を体現しているからこそ。男が女に化ける時は、究極の女性像を夢想するのでしょうか。お美しいお顔の吉沢亮氏のあの目線には、ゾクゾクが止まりませんでした。
吉田修一氏の原作を熟読した後の映画鑑賞だったので、心理描写が絶妙な小説から、思い切って引き算し、ビジュアルで魅せまくるのは承知していましたが。大事なセリフを別の登場人物に言わせているなあと、独自の愉しみ方もありました。
着物好きとしては、ホンマモンの梨園の妻・寺島しのぶさんのお着物姿をもっともっと見たかった気もします。
恩師の白虎襲名に伴い、喜久雄が半二郎を襲名し、人力車で顔見世をするシーンでは、内縁の妻・藤駒の帯のお太鼓が「菊」という、着物が分かる者ならではの心配り。これはさすがでしたね。
本を読んでいた間、もう一人、気になった人物が「竹野」。なぜか映画・WINNYの弁護士・三浦貴大さんの顔が頭の中でチラチラしていたのですが、映画・国宝で竹野の配役が三浦貴大さんと分かった時、そのシンクロには眩暈がしました。
任侠の御曹司(?)という血で、凄みのある恫喝シーンもあるのですが、あんな艶っぽい所作を見せながら、こんな強面も瞬時に演じる。吉沢亮さん、あっ晴れです。
この映画撮影のエキストラの方々。舞台の客席でライブで観られたんですねえ。羨ましい。
でも映画のスクリーンは迫力が全く違います。美しさに徹底的に拘った名作を劇場でぜひどうぞ。