
直木賞受賞作「ともぐい」を読んだ時の衝撃は、今も忘れられません。なんという武骨でリアルで男らしい小説!(ジェンダー云々の昨今、相応しくない表現かもしれません・・・)
女性作家がなんとも男前な小説を書いていらっしゃることには、このブログでも時々触れています。
高村薫さん、柚月裕子さん、あと、篠田節子さんの文体というか取り上げる内容というかも。
この「私の最後の羊が死んだ」は直木賞受賞後に出された、河﨑さん初のエッセイで、「ともぐい」の執筆背景も書かれていました。お父様が書き上げ、賞に応募したものの、日の目を見なかった作品を書き直したものだったとか。無骨さの由来が見えたようです。
でも娘の秋子さんの男前度も半端ないですねぇ。羊飼いになりたい!とニュージーランドでの住み込み研修や、大きな動物を肉として食べられるよう捌くことがご自分で出来るという、なんともワイルドな才能というか技術力と言おうか。
俳優の東出昌大さんは現在、狩猟で射止めた獣を自分で捌いたり、農業も営んで、文字通りほぼ自給自足の生活を送られているようです。熊の肉も食べているという記事には、私の場合、正直「羨ましい♡」ですね。エスカルゴ・カエル・ウサギ・スズメと小物の、人から見れば「ゲテモノ」は食破(←造語です)しましたが。クマ。興味あるなあ。イノシシとシカは当然のように、もう何度も食べましたけどね。
あと、サメはもういいです。アンモニア臭かった・・・
河﨑さんの文章から立ち上ってくるのは、「アンタたち、今、んなことやってる場合???」という、この世にとって大事なことを、小説という手段で伝えようという、力強くて崇高な空気です。
私自身は出しゃばりで説教臭くて、しかも頭の回路が超シンプルで短絡構造なゆえか、小説という文化的な形の作品にして世に出すような、そんな高等な技を持ち合わせておりません。でも、言いたいことは今、いっっっっっぱいあります。
愉快に笑えて、しかも世の本質を鋭く突いている、素敵なエッセイでした。ラム肉が無性に食べたくなっています・・・