数学者の言葉では 藤原正彦先生ならではの鋭い見解がいっぱい!

帯に「今月の新刊」とありますが、れっきとした古本です。奥付によると昭和!59年(1984年)に発行されていて、お値段なんと280円(@_@) いやあ、歴史を感じますね。

藤原先生のご著書は、以前2冊をご紹介しましたが、最も有名なのは「国家の品格」かもしれません。あまりに有名なので、このブログでは取り上げていませんが、日本人が国際的に卑下されていると自信喪失している時に、力強く鼓舞してくれるような、新潮新書の名著。未読の方はぜひご一読ください。

「数学者の言葉では」は、戦中生まれの先生らしい、若干男尊女卑的な表現も垣間見えるようなご意見というか表現もあり、またまた世代間格差を認識させられます。

私自身は男女雇用機会均等法が施行されてからの会社勤めだったので(しかもトイレ以外は区別がないとまで言われたリクルートだった)あまり女性の権利云々を意識せず仕事をしていました。

でも正直言えば、仕事が辛く厳しくなった時、結婚という逃げ道もあるな、と考えたこともありました。この本の中の「折にふれて」という章の「結婚と職業」というエッセイは、その辺りの心情を男性側から巧妙にとらえていて、私なんぞは「グウ」の音も出ません。女性の権利向上のために努力されている方や、今やジェンダーフリーの時代でもあるのに、なんてネガティブな!と、叱責を買いそうですね。申し訳ありません。

数学者というバックボーンと両親そろって文筆家というサラブレッドの先生の文章は、明解で洒脱。古くても、いや古いからこそ名品と言えます。教育者としても立派な先生で見習いたい存在です。