南杏子先生の世界

サイレント・ブレス 南杏子著

本当に私事ですが、父が入院しました。もう日本人男性の平均寿命は超えているので、ある程度覚悟はすべきだろうと考えているところです。基本的な考え方は尊厳死。本人に確認はとってあるので、胃瘻や呼吸器の挿管、心臓マッサージなどはしない、等の今際の処置方針について主治医に伝え、後は父が悔いの残らないよう、食べたいものをなんとか味あわせ(誤嚥性肺炎のため、食べるのがかなり難しいのです)、痛くないよう、苦しくないよう、穏やかに看取る。

私の読書傾向が上記のような考えになるように、かなり偏ったものになっているかもしれません。最近は南杏子先生にはまっています。終末期医療のあり方を自分の両親や自分自身にあてはめて、「痛いの、苦しいのはいや」「口から食べられなくなったら、長生きは望まない」など、リヴィングウィルを確認中です。

サイレント・ブレスは「看取りのカルテ」という副題つきです。単行本で読んで以来、欲しくて欲しくて、今日文庫本を見つけた時は、飛びついてしまいました。

現在NHKで連続ドラマになっている「ディア・ペイシェント」も南先生の原作です。貫地谷しほりさんがいい味出してますね。

いのちの停車場 南杏子著

最新刊の「いのちの停車場」は「サイレント・ブレス」に少し設定が似ていますが、父を最後にどう看取るか、非常に重いテーマが突きつけられています。現役の医者ならではの、苦渋の課題であり、職責の重さに、胸が締め付けられます。

高齢化が進む日本において、今後は終末期医療を扱う医療従事者が少しずつ増えていくことになるでしょう。倫子先生や咲和子先生のような意識の高い医師が周囲にいてくれることを願いつつ。

尚、上記2冊はハンカチ必携でお読みくださいね。