文庫本にして1900円の定価。そして1cm以上の厚さと小さめの文字。なかなか読み応えのある1冊でした。
とても丹念に昔の文献を辿り、丁寧に読み込んだ上、書かれていることが伺われます。
ルース・ベネディクトの「菊と刀」は、第二次世界大戦時、日本人攻略のためアメリカが参考にした文献だそうですが、それには新渡戸稲造の英文著作「武士道」も影響を与えているようですね。
日本及び日本人について、欧米の人達がどのように感じ、評価し、あるいは怖れていたか。鎖国の後、開かれたジパングは、彼らの常識を覆すような玉手箱状態。上から目線でマウントを取りたがる白人(とここでは言いたい!)には、未開地であってしかるべき所に存在するアートや技術力は、瞠目と呼ぶしかない事実がてんこ盛りだったのでしょう。
加えて「謙虚」や「屈託のない好奇心」にも圧倒され、日本礼賛!!!状態に。
以前、紹介した水村美苗さんの「日本語が亡びるとき」に、日本国土の地理的特異性が書かれていますが、四季の変化に恵まれ、一方、地震や台風といった自然災害の多い国であるということも、日本人のナショナリティには大きく影響していると考えられます。
現在、声高に言われているサスティナブルやエシカルは、私たちの祖先にとっては至極当たり前の常識でした。西洋列強のパワーに幻惑されている現代人は、もう一度、ご先祖様の遺産を見直すべき時にきているような気がします。
一神教は争いを産みがちです。権力の集中は、得てしてジェノサイトにつながっていくことが多いです。
気候変動・危機がここまで深刻化しているのに、未来の世を考える政治家ではなく、次の選挙を考える政治屋ばかりが選ばれている今年の世界情勢は、人類の終末への前章なのでしょうか。
暗い内容でごめんなさい。ドナルド・トランプとイーロン・マスクに戦々恐々なんです。許してください。