「スマホを捨てたい子どもたち」現代人の必読書です。

山極寿一先生。とてもおもしろい方ですね。ゴリラ研究者という肩書にくぎ付けになりました。

猿やゴリラの生態を知るために、ご自分でその動物の集団に入り込み、動物になりきり、人間であることを忘れる。

生半可な研究心ではありません。数か月かけて、猿やゴリラが山極先生を《仲間と認め》グルーミングしてくれるまでになり、数年で動物たちと簡単なコミュニケーションをとるまでに至ります。

そのフィールドワークの遠大さには、たまげてしまいました。ホンモノの研究者というのは、根性が座っているというよりは、並々ならぬ好奇心で自然とアクションを起こすものなのですね。動物と同化する。なんだかもう、尊敬というより「神」的な行為です。

信頼は同調からしか生まれない。

日本の「同調圧力」には辟易していますが、全く見ず知らずのヒト、どころか、ゴリラ、の信頼を勝ち得るには、ただ攻撃する意図がない、と理解させるだけでは不十分で、一緒に何かをすることが必要になるんだとか。

人間なら、ダンスや歌・スポーツを共に楽しむ、一緒に掃除をする、などで、時を共有してはじめて信頼を得ることに近づくそうです。

感性は情報化できない。

ユーチューブやインスタグラムの映像・動画などで、共感を呼ぶ、いわゆる「承認欲求」に駆られている人たちは、イイネ! の数に一喜一憂されているのでしょうが、残念ながら表面的なつながりでしかありません。

情報化とは、わからないことを無視する、ということ。

深いつながりを避け、仮想空間だけで生きていく人を増やした【スマホ】の功罪。

タイトルの「スマホを捨てたい子どもたち」は、デジタル社会の怖さを本能的に知覚している未来の担い手を応援する《エール》とも言えるでしょう。

スマホラマダン、やってみる気になりましたか? 少なくとも、この本を読む間は、電源を切って没頭してほしいですね。興味深いオハナシが満載です。