「軍事費拡大のための増税」という岸田総理の発言に、日本の今後を占う1冊

ロシアのウクライナへの軍事侵攻以来、中国による台湾への侵攻が少しずつ警戒されるようになりました。

幻冬舎新書の「ウクライナ戦争と米中対立」帝国主義に逆襲される世界―はジャーナリストの峯村健司氏が各分野のオーソリティとの対談形式で

・プーチンの戦争・習近平の夢 with 小泉悠氏

・武器を使わない戦争 with 鈴木一人氏

・苦境に立つアメリカ with 村野将氏

・台湾有事のリスクとシナリオ with 小野田治氏

・パワーポリティクスに回帰する世界 with 細谷雄一氏

という興味深いテーマをコンパクトサイズにまとめている、贅沢な1冊です。

帯の背表紙側には「岐路に立つ日本。大国として踏みとどまれるのか? 小国となって蹂躙されるのか?」というセンセーショナルな文言があり、現在の日本の立ち位置の危うさが浮き彫りにされています。

戦争の3要素「恐怖」「利益」「名誉」の中で、実は「名誉」がきっかけになるケースが1番多いという事実。第二次世界大戦もアメリカの圧倒的優位を分かっていた上層部が、大和魂の威信に賭けて、始めざるを得ない状況に追い込まれた、との裏歴史を読むと、妙に納得させられます。

岸田総理が支持率低迷に喘いでいる今、さらに評判を落とすような「軍事費拡大、そのための増税」という政策を打ち出しているのは、水面下で起こっている中国の不穏な動きへの対策として、必要不可欠との判断なのでしょうか。

広告制作が生業だった頃、「人間は危ないものを作りすぎた」というキャッチフレーズのあまりの真っ当さに、圧倒されたことがあります。

武器開発がエスカレートし、武力の後ろ盾の強さで交渉事が決まる。コワイですね。

軍事にかかるコストもマンパワーもぜ~んぶ環境保護・気候変動問題につぎ込んだら、世の中はホンモノの平和になるのに、というのは私の浅はかな思考でしょうか。

辞任ドミノで孤立していると言われている岸田総理が、あえて増税を宣言してまで軍備拡張に舵を切ろうとしている現実は、起こってほしくない事態を予言しているようで、私は不安でなりません。