ロボットに魂は宿るのか

SF短編集「さよならの儀式」宮部みゆき著

大好きな宮部みゆきさんのSF短編集。中でも秀逸だったのは、本のタイトルにもなっている「さよならの儀式」でした。

私は、丹精込めて作られたモノには、魂が宿ると信じています。大事に使っていれば、モノは機嫌よく反応し、扱いが悪くなると、モノは癇癪を起してストライキに入ります。

ウチのプリンターは正にその典型。「よしよし、今日も元気に動いてくれてありがとう」と、使う度に優しく声をかけます。これをしばらく忘れていたら、ヒドイ紙詰まりを起こし、慎重に除去をしても異音がやまず、ギブアップして入院してもらうはめになってしまいました。

サービスセンターから戻ってきたプリンターは、ピカピカに磨かれて、とてもはつらつとしています。おかげで仕事が捗るようになりました。やっぱりモノは大事にしてあげないとダメですね。

黒柳徹子さんが犬型ロボット・アイボを購入されて、とても個性的ないい子に育っていたので、テレビでお披露目しようとされたことがあります。私はその放送は観ていないのですが、黒柳さんのご著書によると、アイボが登場するまでにあずけられていた人が、ただの金属のかたまりとして扱っていたようで、アイボはすっかり怯えて拗ねてしまったとのこと。放送では、粗相をするシーンなど(ロボットなので、実害はないのですが)黒柳さんの面目丸つぶれで、さんざんだったとか。AIが搭載された、成長する動物型ロボットですから、人間の感情を読み取ることにも、さぞ長けているのでしょう。

私にはアイボのような高額なロボットを買う資金力もないし、ペットは保護犬を引き取るという夢を持っているので、AIの力を試す機会には、なかなか恵まれません。

あの、お掃除ロボットなどは、きっと私ほどのスピリッツ信者でなくても、使用者にある種の感情を植え付けることでしょう。私の友人知人が数人、丸や三角のお掃除ロボットを利用していますが、皆、それらに名前をつけ、「よく働いてくれる仔なのよ」と自慢しています。仕事で忙しい人ばかりなので、文明の利器に頼る気持ちも分からなくはないですが、私は稲垣えみ子さんに倣って、ほうきとちりとりで掃除をしたいと思う口なので・・・

機械だけでなく、道具とか衣類にも感情移入してしまう私。お気に入りのモノは丁寧に扱い、手入れもしっかりし、長~く愛用します。エーベルバッハ少佐の筆箱は高校生の時に買ったものだし、革ジャンも30年以上着ている年期物。去年一部破れてしまって顔がひきつりましたが、行きつけのお直しのお店に持ち込むと、革製品でも修理可能と聞いて一安心。無事修繕されて、まだまだ着る気マンマンです。

大事にしている服は、着ていると、いざという時、身を守ってくれるのです。これホントの話。車に至っては、言うに及ばずですね。いつも感謝を伝えています。

穴があいた服とかもなかなか捨てられないので、時々大恥をかくのが玉に瑕。靴下の失敗は数知れず、高級割烹に連れていかれた時には、心の底から後悔しました。

ドイツ人が読んでいる日本に行くための旅行ガイドブックには、「日本に行くなら穴の空いていない靴下を用意すること。靴の臭いに気をつけること」という記述があるそうです。ドイツに限らず欧米系の人たちは、来日前に同様のアドバイスをもらっているのでしょうね。

ロボットの話から靴下の話になってしまいました。モノは大切に。でも穴あきの靴下はほどほどに・・・