小山内美智子さんの本との出会いのきっかけは、「こんな夜更けにバナナかよ」でした。映画の原作を読むのがライフワーク(?)の私は、渡辺一史氏のノンフィクションの筆力に圧倒され、その中で《小山内美智子》という女性の存在を知りました。彼女の著作は図書館で借りられるものは全て読破し、ないものはネットで購入して、その”執念”のような熱意に触れました。
小山内さんは脳性マヒのため、両手が使えず、足でいろんなことを器用にこなされます。障がい者でありながら(この表現には語弊もあるのですが)自立を目指し、北海道に「いちご会」という組織を立ち上げ、様々な運動をされている方です。日本の障がい者に対する福祉制度の劣悪な状況を憂い、スウェーデンの先進的な福祉国家ぶりを視察に行き、「足指でつづったスウェーデン日記」を完成させました。
また、結婚・出産を経験された後、愛息との再訪「車椅子スウェーデン母子旅」も著しました。このスウェーデン旅行に関する2冊は、AMAZONで購入後、私の手元に置いておくより、広く世間の方に読んでいただいた方が良いと考え、ビブリオバトルを展開、ある図書館にやっと寄贈が相成りました。
「車椅子からウィンク」は両手が使えない状況での子育ての様子や、性のことも赤裸々に綴られており、今まで想像もしなかった《障がい者の方の苦悩や苦労》をじっくり考えさせる内容です。
この本はかなり話題になったそうで、黒木瞳さんが主演でドラマにもなったとか。小山内さんは「あんなにキレイなもんじゃないわ」と、その美化された自分のドラマに、テレとうっぷんを表明されていましたが、世の中に障がい者の実態を少しでも浸透させる役に立ったのであれば、それはそれで功績があったと考えられます。
誰にだって突然、事故や災害などで障がいを持つ可能性はあります。あるいは、年を重ねることによって、徐々に高齢になり、認知症や身体の衰えが全ての人に待っていることは言うまでもありません。
障害について、障がい者福祉について、今少し、お考えいただければと思い、小山内さんを取り上げてみました。重いテーマですが大切なことだと思っています。