異能の元厚労官僚による憂国の書・第2弾を読む

なんだかお堅いタイトルで、多くの方に敬遠されそうな本ですが、とてもわかりやすい内容です。日本がいかに《ガラパゴス》状態であるかが如実に描かれており、国際化への道程の遠さに暗澹となります。

日本を憂える内容ですが、指摘しているポイントは、いずれももっともなことばかり。今後のことを想像すると、暗い未来像が湧き出てきて、気が滅入ってきたので、日本礼賛の本を読んで、気分を上げることに。

香取照幸氏の本が非常に新しいのに比べて、この川口マーン惠美氏の本はかなり古いです。8勝2敗で日本の勝ち、というタイトルですが、そこまで圧勝はしていないというのが、今回冷静に読みなおしてみた印象。

2冊の書から覗えるのは、日本は日本人(日本語がネイティブで日本文化に馴染んでいる人とここでは限定します)が日本国内で便利さに埋没し、内弁慶化が進んでいる、ということでしょうか。

世の中が便利になるのは、確かに良いことですが、日本人の便利さの追求は、ちょっと度を超している、と私は感じています。「痒い所に手が届く」は、初めは感動しますが、慣れてくると当たり前になり、快適でないこと・便利でないことに、やがて不満を持つようになる。《便利は人を不幸にする》と言った芸能人がいましたが(ここでは名前は伏せておきます)、快適さを求めるあまり、人間はどんどん怠惰になり、いろんな機能が退化していく結果を産むことになるのではないでしょうか。

車に頼ってばかりで、脚力や腕力が衰える。スマホに頼り切って、思考力が低下する。暗算が面倒になり、電卓が手離せない。ワープロに頼り過ぎて、字が書けない、簡単な漢字が思いだせない。。。こんな症状、出ていませんか?

日本に天災が多いのは、便利さのありがたみを時々思い出させるための、神様の配材かもしれません。ライフラインが断ち切られると、本当に本当に不便です。日頃から便利な生活に感謝する人が増え、サスティナブルな生き方が推進されれば、ひょっとすると自然災害は減るのではないかと。夢の見すぎでしょうかねえ。

ただ、被災者が長年にわたって不自由な生活を強いられている現状は看過できません。熊本の地震から5年、東日本大震災からは既に10年。オリンピックの実現の前に、復旧を待つ人達の要望に応えるのが優先順位は上ではないかと、私の結論はどうしてもここに行きつきます。五輪開催まで100日だそうですが、私には実現は無謀にしか思えないのです。アスリートの皆さん、スポーツファンの皆さん、ごめんなさい。でもやっぱり譲れません。