沢野ひとしさんのお名前は存じ上げていましたが、椎名誠さん専属のイラストレーター的に私はとらえていたようです。ま、「専属の」という言葉は、私の勝手な思い込みなんですが。
飄々としたユーモラスなタッチのイラストは、椎名さんの文章に絶妙にマッチしていて、さすがは旧来からの友人同士。絵と文とのコラボまで、しっかり意気投合しているなあと、ものすごく感心しながら見て読んでいましたね。
沢野さんのエッセイが絶品という紹介記事を何かで読み、それはぜひ読まねばと、手に取ったのが「ジジイの片づけ」。ジジイとご自分を名乗る、なんというか潔さみたいなものに、まず感服。そして、そこいらへんの断捨離マニュアルを軽々と凌駕する、思い切りの良い片付け方指南に、脱帽。
これは、ぜひもう1冊のシリーズ本にも目を通さねばと、「ジジイの台所」も入手しました。台所は「だいどこ」と読ませるちょっと頑固っぽいところも、私的には好感度アップ材料です。
キッチン道具への愛着の強さは、すなわち《料理上手》であることの証明でもあります。レシピもいくつか掲載されていますが、料理を普段からしている人ならではの、的確な分量提示や手順・時間などの書き方。ツボを心得ているからこそ、上手な引き算をして、わかりやすい方法が書けているんですね。
1日のルーチンなども、医学的見地から充分に納得のいく、とても健康的な習慣が示されていて、馬鹿正直な私は、読んで即日実行しています。
いや実際、調子がよくなったんです。本当に。
そんなわけで、沢野先生のこの2冊の名著は、完全老体になってもちゃんと読めるようにと、文庫本を待たずに、大きめの活字本の大きめの単行本のままで、手元に置いておこうと思います。
イラストの線はゆったりしているのに、文体はキッパリとしていて、ほんとに同じ人? って感じ。いや、マジで面白い本です!