読み継いでいきたい児童書「ぼくは満員電車で原爆を浴びた」

ここのところ、隆祥館書店の二村店長ご推薦図書は、子供向け書籍が多いです。未来の購買層へ向けての宣伝でしょうか? いやいや、そんな肝っ玉の小さな方でないのは、よく存じ上げております。平和への希求、ヒロシマの日というタイミング、そしてロシアへの牽制もあるかもしれませんね。

「ぼくは満員電車で原爆を浴びた」11歳の少年が生きぬいたヒロシマ

米澤鐵志さんの語りを由井りょう子さんが文章にし、とても読みやすく、史実に忠実にわかりやすい解説も入れた、大人も子供もきちんと正座して読んでほしい《名著》です。

ヒロシマの悲劇、原爆の怖さ、核利用が例え平和のためでも危険過ぎで止めるべきであること。

今まで語りでしか伝えてこられなかった米澤さんが、お考えを改められ、このような素晴らしい名著が生まれたことは、心底「ありがたい」と思います。

ここには現実の歴史が詰まっています。リアルな体験をなさり、被曝の後遺症でおそらく想像を絶する苦しみも味わってこられたことでしょう。でも、だからこそ、伝えなければならない、後世に残さなければならない、と使命感に静かに燃えている米澤さんの生き様は、真に尊敬に値する行為と感じています。

酷い描写もあります。でも実際にあった、本当にオソロシイことです。二度と繰り返さないために、多くの方に読み継がれていくことを、心から希望します。