平野啓一郎さんの渾身の訴え「死刑について」

死刑は必要でしょうか。

幸い身近な人に殺したり殺されたりという悲劇がないので、漠然と勧善懲悪系のドラマの影響で「殺人者は死刑」と私はシンプルに考えていました。

犯罪者側の心理というか事情を扱った書物を読むようになって、死刑が正しい極刑なのか、疑わしくなってきたところに、この好書「死刑について」。

平野啓一郎さんは私が敬愛してやまない作家ですが、講演会を開催され、それがこのような素晴らしい1冊にまとまって、一般的日本人の死刑に対する浅慮(という言葉がふさわしいかどうか分かりませんが)をわかりやすく指摘していることに、深い感動を覚えました。

冤罪や警察のメンツ、果ては実にオソロシイ”政治日程の兼ね合いによる死刑執行”という驚くべき実態。

死刑になりたかったから無差別殺人を犯すという、殺人事件を引き起こす土壌ともなっている、日本の死刑制度。

想像してみてください。池田小学校で8人の小学生を殺した被告は、望み通り死刑になったのです。おかしくないですか?

平野さんの冷静で真摯な語り口に、日本の歪んだ司法制度などをもっと真剣に考えてみようという心境に至りました。

シビアですが難しくありません。一度作ったものに固執する日本の官僚に、新しい風を吹き込むきっかけとして、強く推薦したいと存じます。