宗教がテーマの本・2種

人が新興宗教に入信したり、マルチ商法にはまったりする心理状態。この2つは結構似ているような気がします。私はどちらも集会に誘われたことがありますが、入会を迫られた時にはっきりと断りました。

君子危うきに近寄らず、と言いますが(危ういかどうかは、信じている方々の価値観にもよるのですけれど)、どんな手練手管ではまっていくのか、ギリギリまで見てみたいという好奇心が勝ってしまいまして。

紫色の場所 林真理子著

この「紫色の場所」は著者ご自身が新興宗教にはまった体験をもとに書かれているようで、心理描写が絶妙です。宗教を《流行》ととらえ、ちょっと新しいサークル活動に参加してみるように、オカルトチックなことを体験してみる。今の時代は分かりませんが、当時はそんな傾向があったのでしょうか。面白い小説です。

仮想儀礼 上下巻 篠田節子著

一方、新興宗教を作ってしまうお話が、この「仮想儀礼」です。篠田節子さんらしい骨太の作品で、柴田錬三郎賞を受賞しています。「信仰は金を産む」と言いますが、ビジネスも宗教も事業ととらえることができるのですね。狂信的にさえならなければ、カルトも人を救う組織ととらえてもいいのでは、と思ってしまいます。NPO 法人などでも、単なるお金集めの組織もあるようですし。ま、確かにお金が全くないと、生きてはいけませんがね。

DVD で「エリカ38」を観ました。浅田美代子さんの体当たりの演技がなかなか良かったです。これは根底に「投資詐欺」が絡んでいて、お金に執着する人間のエゴが、恐ろしくもあり哀れでもありました。

世の中のお金をたくさん持っている層は、結局ヒエラルキーの上に位置するごく一部の人たちなのですね。うまく分配して、貧困層を無くすシステムを作ってくれるカリスマ政治家に現れてほしいものです。