なぜ日本では略奪も暴動もおきないのか? 犯罪の世間学がひも解きます。

日本で略奪も暴動も起きない理由-その答えは「世間があるから」。

さて、その《世間》とは?

日本が江戸時代を終えて開国した際、SOCIETY という言葉の日本語訳に《社会》という言葉を充てたことを、著者・佐藤直樹氏は称賛しています。

そう、《世間》と《社会》は似て非なるものなのです。

この本では《世間》とは何かが懇切丁寧に解説されています。日本人の横並び意識や、空気を読むことの大切さなど、世間の目が犯罪を抑制しているということが、クリアに頭に入ってきます。

また、2008年に起きた-秋葉原無差別殺傷事件、2012~13年の「黒子のバスケ」脅迫事件、2014年の-佐世保高一女子同級生殺害事件。以上を当時の週刊誌の記事より興味深く掘り下げて説明しています。

非常にわかりやすい論理が展開されていますが、著者にひとつ反論があります。

「すみません」は Excuse me と同じではないでしょうか? 日本人は-まず謝る-とおっしゃっていますが、英語のエクスキューズミーもドイツ語なら Entschuldigung(エントシュルディグング)も、意味合いは変わらないと思いますが。何かを頼む時、尋ねる時、クッションになる言葉を置くのは、おそらくどの言語でも普通だと考えますが、いかがでしょう。

ブログを読んでくださっていらっしゃる方、すみません。詳しくはこの本に目を通していただいて、この反論についてもご理解いただければと思います。

木村花さんの自殺により、他人を侮辱する行為への罰則が厳しくなりました。これ自体は良いことだと思いますが、政府がこれを笠に着て、政治家や政策への反論などを封じ込める手段にしないよう、見守っていく必要がありそうです。

選挙が近づくと飴をばらまく。当選したあかつきに鞭をくりだす。こんなんも侮辱にあたいするんでしょうかねぇ。