映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形

私はネットフリックスを観ません。だから、この本を正確に理解したのかは少々疑問があると自覚しております。

「流行りモノの筋だけ知っておきたい」この気持ちはわかります。私の場合、例えば流行っているドラマを1~2話録画し、ビデオで観ながらおおまかなストーリー・キャスティングを把握・類推し、自分なりに《なぜ今この作品がウケているのか》を考察します。私自身、面白いと感じれば続けて観ますが、ほとんどの場合、1回限りで終わっています。

最近つくづく思うのは、【チャンネルが多すぎる!!】。どこのテレビ局も視聴率という数字を追いかけ、番組作りに恐々としているのでは? 無理をして、やっつけで仕事をしても、視聴者がザッピングするのを止め、見入ってくれるプログラムは出来ません。本当に作りたくて作っている番組は、テレビ欄の膨大なタイトルの、はたして何パーセントを占めているのでしょうか?

なんか、エラそうですね。すみません。

映画はここ最近、「これは映画館で観たい!」と思う作品があり、先日も”LIVENG”を観てきました。黒澤明の「生きる」は観ていないのですが、カズオ・イシグロの脚本は素晴らしく、劇場のほとんどの観客は、私を含めて最後に涙していました。

タイパで稼いだ時間を、人は何に使うのでしょう。忙しい、忙しい、と始終言っている人が、長期休暇をもらうと、何をしていいか分からないと言って、会社に行っていました。コロナで自粛を余儀なくされていた時も、することがない、淋しい、という理由で、ゲーム機やペットが異常に売れたそうです。

いわゆる Z世代と言われている若者たちは、情報洪水の世に生まれ、自分が本当にやりたいこと・楽しめること・知りたいことが見つけられずにいるような気がします。

かくいう私自身、心から「これが天職」という仕事をしているかどうか。でも、少なくとも、語学講師という仕事には誇りをもっているし、準備から授業まで、楽しんでやれています。今まで数多の仕事をしてきましたが、全て「良い経験」をさせてもらったと思うし、今の仕事にいろんなところで役立っています。

タイパを考えて、トライしようとしないのは、とてもモッタイナイ、というのが、私の経験からくる感想です。転んでもタダでは起きない精神で、今まで生きてきたし、失敗から学ぶことの方が、ゼッタイ実になっています。身についています。

AI は人間が創り出したもの。それに人間が振り回されるのは、まさに本末転倒です。時間の潰し方がわからなくて、ゲームに溺れている人。街を、ヒトを、自然を、ただ空を見上げるだけでもいい。液晶画面から遠ざかってみてください。

稲田豊史氏のこの著書は、現代社会の姿を明解に文章化してくださっており、私が Z 世代に対して抱いていた様々なギモンが、かなりクリアになりました。光文社新書のシリーズは啓示を与えてくれる本が多く、愛読しております。ありがとうございます<m(__)m>