夜ふけのなわとびを読んだ母

文庫本でそろえています。順番は正しくないかも。

週刊文春の林真理子さんによる人気コラム。「今夜も思い出し笑い」からスタートし、現在は「夜ふけのなわとび」というタイトルで、確かギネスブックにも認定された、超ロングランの連載ですね。 

我が家は日本の標準的なサラリーマン家計よりも、やや劣るほどのこじんまりした世帯です。本や雑誌は図書館に足繁く通って読み、気に入った本は文庫になるまで、それも待てるものは、BOOK OFFの100円+消費税のコーナーに並ぶまで、気長に待つ、超小市民です。そうしないと、狭い我が家は本と雑誌であふれ、いやヘタをすると床が抜け、家計は火の車になるでしょう。

というわけで、図書館は私の第二の書斎になっています。そんなケチ(ドイツ語では geizig ガイツィッヒ と言い、節約的なという言葉 sparsam シュパルザム と厳格に区別します)な我が家ですが、週刊文春の「てこずるパズル」の「ナンクロ」を愛してやまない母は、何週間かに1度掲載されるそのパズルを見つけると、嬉々としてプチ贅沢をします。

ここ最近、母は林真理子さんのコラムを最初から読みなおしていました。新しい本の刺激より、古い記憶をよみがえらせる方が、ボケ防止の一端になることもあるのでしょうか。医学的なことは分かりませんが、彼女の頭はまだ幸い認知症の傾向はありません。

で、ある日、母は居間で古い週刊文春を隅から隅まで「探して」いました。読むという行為ではなく、捜索していたのです。

「ねえ、センテンス・スプリングっていうコーナーは一体どこにあるの?」

業を煮やしたらしく、母は私に尋ねてきました。ここで合点がいった私。某ハーフタレントが不倫疑惑を文春に書かれた時、ラインに”文春”をまんま英訳したその言葉を使っていたことが、コラムにも取り上げられていたのですね。

「文は英語でセンテンス、春がスプリングでしょ。コーナーじゃなくて、ベッ○ーが週刊文春を揶揄して表現した、隠語みたいなこと。そんなコーナーはないの」

と説明すると、ようやく腑に落ちたようで、古い雑誌は物置に移動しました。

母はほぼ毎日欠かさず、スーパードラマTVを観ていて、なかでも「クリミナルマインド」はお気に入り。吹き替え版を観たかと思ったら、字幕スーパー版の同じ内容のものもまた観ている、一種のフリークなのですが、英語はからっきしです。

ところが海外に行くと、物おじせず、カタカナ英語と日本語で、積極的に外国の方達とコミュニケーションをとりにいくのが、わが母上。身振り手振りも手伝って、なんとか会話が成り立つようです。にっちもさっちもいかなくなると、私が呼ばれて通訳をさせられるのですが、私も母の娘なので、人見知りせず他人と話す性格は、ちゃんとDNAに組み込まれていますねえ。

夜ふけのなわとびから、ずいぶん飛躍してしまいました。唐突ですが、今日のところはこの辺で。