超明解!日韓比較論「線を越える韓国人 線を引く日本人」

日本人は内部と外部、自分と他人、内集団と外集団を明確に区分することを好む国民である。

というのが、著者/ハン・ミンさんのご意見というかご指摘で、タイトルの「線を引く日本人」が如実に表しています。対極的に韓国人は「線を越える」民族というわけです。

なるほどなあ、と深くうなずいてしまいました。

そして、だからこそ、他人の領域で起こることに興味津々になり《のぞき》趣味が高じてくる。日本製の隠しカメラが世界有数の高性能というのも、これで説明されますね。なんだかものすごくハズカシイですが。

ハン・ミンさんのご指摘は、これだけではありません。日本人と韓国人、お隣の国だけど、こんなに違うところがある! どちらがイイ・ワルイではなく、価値観の違い、国土の違いによる習慣の違いや、歴史を重ねてきた両国の感情の行き違いなど、本当に様々なことが丁寧に、しかも理論的に説明されていて、とても完成度の高い日韓比較論であると、私は感心してしまいました。

もうかれこれ30年くらい前に行った韓国の印象なので、今とはかなり違うのかもしれませんが、韓国人の子供や赤ちゃんへの接し方は、本当にステキでした。この本でも、その点が力説されていたので、今も変わらないのだと推測されますが、日本人は子供の公共での振る舞いについて、ひじょおおおおおに厳格です。赤ちゃんが泣いたら、母親は「すみません💦」とひたすら謝り、逃げるように公衆から離れる。赤ちゃんが泣くのは《当たり前》なのに、公衆はあくまでも母親に【冷たい】。これが日本の現実です。

韓国人の大人たちは、子供や赤ちゃんを見つけると、総出であやし、かわいがるのです。社員旅行で集団で行った韓国の焼き肉屋で、確かその中に乳児と2~3歳児が一人ずついたかと記憶しますが(家族帯同の旅行でした)、骨付きカルビをハサミで切るおばちゃんは、赤ちゃんに目を細め、もうメロメロ状態。次々と運ばれる様々なお肉のお皿を持つおばちゃんたちの手は、テーブルにお皿を置くやいなや、すぐ子供をあやします。小さな存在をかわいがらずにはいられない。とても微笑ましい光景でした。

ごく幼い時に十二分にかわいがられたヒトは、この世に自分が生きていく絶対的な”自信”を持つようになる、と言われています。私がこれまでに読んだ心理学の本や、医学書、他様々な文献でも、それを裏付ける内容が書かれていました。

日本人の多くの子供たちが、ごく早い時期から厳しく躾けられていることを、子供を産んだことのない私が感想を述べるのは僭越かもしれませんが、とても「残念」と感じています。

この「線を越える韓国人 線を引く日本人」。著者が韓国人なので、少々韓国贔屓の点があるのは致し方ないですが、それでもかなり冷静に限りなく公平に書かれているなあという印象を受けました。

ヘイト○○などという物騒な人々もいらっしゃるようですが、この本は、ぜひ嫌韓気味の方に強くオススメしたいです。隣国を理解する、足がかりになる良書です。