「冒される日本人の脳」ある神経病理学者の遺言

1998年初版の本です。税抜きで3000円という立派なお値段がついておりまして、図書館の所蔵力にあらためて感謝しています。このような、専門家が一般庶民のために解りやすく書いてくださった本の存在を知ることができ、故・立花隆さんにも謝意を表します。

大きな組織ほど、自己保身に走る傾向が強いことを、また思い知らされました。国であれ政府であれ、また大企業であれ、考えていることは《わが身可愛さ》ばかり。国民の健康とか命とかは、これっぽっちも大切に思っていません。どんなにエビデンスを突き付けても、唖然とするような理論でかわす。挙句の果てには、不利な判決を出した裁判官を左遷までする。三権分立はどこにいったのでしょう。

白木博次医師による明解な説明は、真摯な姿勢が垣間見え、とても信憑性の高い(一方でとても怖い内容でもあるのですが)内容と拝察いたします。

1917年のお生まれで、存命なら100歳を優に越えていらっしゃるところなのですが、2004年に惜しくも天命を全うされておられました。これだけの足跡を残された先生なので、さぞかし惜しまれて逝かれたのだろうと想像します。

スモン、ワクチン、水銀、PCBと、私たちの身の回りは、危険なものでいっぱいです。それなのに、政府は国民の生命よりも経済を優先させる。おそろしいことです。

岸田総理はそんな仕打ちをすることはないと信じて良いのでしょうか? 今のところ、新型コロナウイルス対策は「経済より命が大事」という方針で進んでくれているように思えるのですが。ただ、緊急事態宣言はめったなことでは出さない、という発言は、エコノミー優先という意識がのぞいているようで、少し不安になります。

「冒される日本人の脳」。子供を持つ人も、老後が気になる人も、自分たちの健康を自分たちで守るために、必要な知識や心構えを授けてくれます。さすが骨のある医師の書。名品です。