ちょっと衝撃的なタイトルですが、なかなか面白い本でした。特に「父乳の夢」は笑いながら考えさせられます。科学や医療技術の発達で、父の胸から乳が出るという発想。山崎ナオコーラさんらしいというか、なんというか・・・
著者は性別非公開という方で、「人のセックスを笑うな」というこれまたショッキングなタイトルの本でセンセーショナルに文壇にデビューされました。以来、純文学の世界でいろいろ書いていらっしゃいますが、私は芥川賞作品が苦手なタイプなので、この方の作品も少し遠ざけておりました。
でも、写真のこれは笑えます。性別を超えるために、父の胸が膨らんで父乳が出たり、ロボット技術で、か弱い女性が怪力を得て、今まで夫に頼んでいた家事をどんどんこなせるようになり、性格まで変わっていく様子。
驚くべき想像力というか、ユーモラスな未来像ですね。コロナ時代も上手く取り入れた「キラキラPMS」もシュールです。
性別の《当たり前》があたりまえでなくなると、人間は解放されるのか? なかなか奥深いテーマだと思います。私なら、自分でできないことや苦手なことは、人に頼んでやってもらうけどなあ、と、単純に思いますけどね。
一種のユートピア小説。けっこうおすすめです。