歴史小説 雪の花

真っ白な表紙なので花を置いてみました。

以前、天声人語で取り上げられていた、この「雪の花」。天然痘の種痘を普及させるために奮闘する福井の町医・笠原良策を描いた歴史小説です。

この物語は、吉村昭 歴史小説集成の第7巻に収録されています。志高く学び、信念堅く生きた、歴史上のあまり注目を集めていない人たちについて、吉村昭氏が丁寧に書いています。

「雪の花」は、コロナ禍で人々が罹患者を忌み嫌ったり、医療従事者に冷たい仕打ちを与えたりしている状況を彷彿させるような描写があり、いつの時代も、未知のもの、目に見えない病魔に対する反応は、似たようなものだな、と思わせます。

笠原良策が命がけで天然痘の種痘を広めたのは幕末の頃でした。シーボルトが長崎で活躍していた時ですから、場所によっては、新しい医療に対する理解が深く、種痘(今でいうワクチン)がスムーズに受け入れられたところもあったのですが。当時の福井は閉鎖的だったようです。

歴史上の人物を勉強するのは、今の時代を振り返るのに、良い教材となりますね。怖ろしい感染症は、かつて人間が克服した歴史が何度かあります。コロナも必ず終息し、また、みんなが握手やハグができる時代は戻ってくるはずです。

今はじっと耐える時です。。。