シュタウフェンの思い出

シュタウフェンのそばの工房で一目惚れして買ったマグカップ

ドイツの黒い森の代表的な街、フライブルク。環境保護先進都市として知られるこの街は、ドイツの南西、ほとんどスイスに近い辺りにあります。そのフライブルクからスイス・バーゼルの方向へ、左斜め下に少しいった所に、Staufen シュタウフェンという小さな町があります。 

シュタウフェンにはボッパルト同様、かつてゲーテインスティトゥート(ドイツ語の留学生向けの専門校)がありました。今は残念ながら、もうありません。私はこの町にある城跡を見たくて、訪問したことがあります。

城跡は小高い丘の上にあり、登った所でのんびり休憩しようと思っていたら、先客がありました。初老のおじさま、退屈そうでした。勇気を出して、ドイツ語で話しかけると、イタリア人とのこと。

「あんたは日本人かね。ここに長く住んでいるが、日本人とドイツ語で話すのは初めてじゃ。気に入った。一緒においしいCAFEに行こう」と言うと、私をアイスクリームが自慢のカフェに連れていってくれました。

私が美味なるアイスクリームを堪能して、いざ支払いの時になると、

「今日はワシがおごります。あなたは、今度もし日本でイタリア人に出会ったら、今日のワシのように、その人にお茶一杯・アイス一盛りをおごってやってください。そうしてくれれば、ワシは満足です」と言って、ご馳走してくださったのです。

そのイタリア人と別れた後、何か記念になるものをと歩き回って、見つけた工房の中で出会ったのが、写真の Tasse(タッセ マグカップ)です。大ぶりなので、食器としては使わず、このように飾ってあります。光沢のある青色が気に入っています。

素敵な出会いと思い出深い言葉が、このタッセの中につまっているのです。おじさんの言葉、なかなか滋味深い言葉だと思いませんか?