作文が上手くなりたい全ての方へ

日本語の作文技術 本多勝一著

日本語で大変お世話になっている大先生からご紹介いただいた、この本。帯に筑紫哲也氏の「相手に伝わる文章をどう書くか。それを教える類書が、このロングセラー以外に未だに無いとは驚きである」とあります。

あなたのメールもレポートも、たちまち”名文”になる! とのふれこみですが、とても噛み砕いて、作文のノウハウについて書かれた、指南書というか、専門書というべきか。

とにかく、《具体的》なんです。修飾の順序や句読点の打ち方のコツ、漢字とカナの使い分け、助詞の使い方、段落の区切り方、等など。文章が図解されて詳しく説明されており、手取り足取り教えてくれている感覚です。

こういう良書は、小学校では早くても、せめて中学校くらいでは、教材に取り入れていただきたいものですね。少なくとも、国語の教師が作文の時間に、この本に基づいた授業を行うのは、非常に役に立つと思われます。

例えば

すもももももももももももいろ

これじゃあ、なんのこっちゃとなりますが

李も桃も腿も桃色

と漢字変換したら、一目瞭然です。

漢字は確かに最初は覚えるのが大変ですが、この中国人の偉大なる発明のお蔭で、私たち日本人は、豊かな言語活動ができていると言えましょう。

点の打ち方ひとつで、文章の意味が変わることや、カタカナを上手く使うコツなども分かりやすく説かれており、作文が苦手な人も、この一冊でお悩み解決です。

全部をくまなく読むのは、ちょっとしんどいかも。

詳し過ぎて、時々「もういい」となるくらい丁寧に書かれていますので、必要事項以外は読み飛ばしても大丈夫なくらいです。

奥付きに 2005年第一刷 とあり、これが「新装版」なので、かなり古くから存在する本のようです。昔からこんないい指南書があったのに、出会いが遅すぎました。

SOVとかSVOなど、文法に関する情報は、毛嫌いされる方もいらっしゃるかもしれませんが、「言語学」についての興味深い読み物として、ぜひ好奇心をもってお読みいただきたいです。

エンタメも良いですが、たまにはお勉強も、ね。