斉藤政喜さん、ペンネーム・シェルパ斉藤さん。最近、朝日新聞の土曜版BEで特集されていたので興味を引かれ、集中的にご著書を拝読いたしました。
バックパッキング、自転車、オートバイ、犬連れ、果ては耕運機による日本縦断旅行など、様々なスタイルで旅を続けていらっしゃるバックパッカー。八ヶ岳山麓に自分の手で家を作り、田舎暮らしを楽しんでおられる。なんとも羨ましいライフスタイルです。
ペンネームに使っていらっしゃる「シェルパ」はネパール語で、ヒマラヤ登山で隊の一員として荷物運搬・案内などを務める人のこと。本来はネパール北東部のチベット系民族であるシェルパ族をさすそうです。
私の日本語の生徒にこの「シェルパ」という名前の女性がいます。父親の職業がこの荷物運搬・山道案内だと説明してくれました。職業が名前というと、ピンとくるのがドイツ人の姓です。
有名なのはミヒャエル・シューマッハーというF1レーサーの「シューマッハー」。シューは靴、マッハーは作る人の意味で、シューマッハーは「靴職人」という意味なのです。他にもシュナイダーが仕立て屋さんとか、ツィマーマンが大工さんとか、ドイツ人の苗字は職業名からくるものが数多くあります。ネパール人のように現在も密着していることはないようですが。
バックパッキング旅行の中で、面白い話がありました。食料はほぼ持参ですが、ごくたまに道中で調達できることがあります。羊の肉か鶏肉が手に入るエリアで、どちらを買うか、羊の方が安いと言われ、斉藤氏は最初「羊を買う」と言います。ところが値段は鶏が750円、羊が3750円。「え?」と思ったのも当然、それぞれ、まるまる一羽と一頭のプライスだったのです。
日本人の感覚では、100gいくらというのが固定観念で、山の中で切り身のパックを想像しているようでは、サバイバルには過ごせません。結局、斉藤氏は鶏を一羽買うのですが、ロングトレイルには鶏や羊を一緒に連れて行き、道中で屠るという、私からすると何ともワイルドなトレッキングもあるようです。
一方、「スローな旅で行こう」は、私のような軟弱な旅行者でも楽しめる、ちょっと変わった体験を楽しむ旅が満載。斉藤氏の嗜好は独特のものがあるので、全部を真似するのは大変そうですが、読みものとしては面白いですね。
Go Toキャンペーンが始まったら、どれかひとつくらい、夏休みに体験してみるのも、いいかもしれません。個人的には八ヶ岳のご自宅にお伺いしてみたいなと、思っております。旅人のためにログハウスを開放されているとか。シェルパ斉藤さん、ホント、素敵な方です。ぜひお見知りおきを。