原田マハ氏と言えば、かつてキュレーターとしてニューヨーク近代美術館に勤務されたことがあるほど、美術に造詣の深い方。
美術・絵画を題材とした作品が得意な方とお見受けします。
「楽園のカンヴァス」はそのニューヨーク近代美術館の学芸員が主人公のミステリーだし、直木賞候補となった「暗幕のゲルニカ」も「美しき愚かものたちのタブロー」もそれぞれ、名画・ゲルニカをめぐるスリリングな美術小説だったり、松方コレクションの軌跡を描いたものだったりして、いずれも興味深くて面白い本でした。
また、新田次郎文学賞を受賞した「リーチ先生」は、私が一万円選書に選んでいただいた本で、既読だったため差し替えてもらったのですが、これもまたイギリス人陶芸家・バーナード・リーチの半生を描いたワクワクする本でした。
そんな原田氏が「総理の夫」という政治の世界に挑戦した小説を書かれたのは、なぜだったのでしょう。
ファーストジェントルマン・日和(ひより)の目線で、日記としてかかれているこの小説。なんともマンガチックな印象を受けました。こんな総理が本当に存在したら、世の中、ステキになるでしょうね。夢みたいな物語だからこそ、映像化にぴったりなのかもしれません。
総理の夫に田中圭さん、そして初めての女性総理大臣役は中谷美紀さん。2021年秋のロードショーが決定しています。壮大な政界エンターテイメント、活字・映画、お好きな方でお楽しみください。