手違いから生まれた壮大なドキュメント、偉大なるレナード・バーンスタインと彼を熱愛した二人の日本人

巨匠 レナード・バーンスタイン。

ウェスト・サイド・ストーリーの作曲者で指揮者という知識はありましたが、これほど偉大で愛情深い信念を持った偉人であられたとは、恥ずかしながらこの本を読むまで、よく存じ上げませんでした。

著者・吉原真里さんは、ある意味、幸運の扉を開いたと言えます。

この「親愛なるレニー」のキーパーソン・橋本邦彦さんのバーンスタインに宛てた膨大な量の私信は、本来封印されていたもので、アメリカの議会図書館が手違いで吉原さんに開陳してしまった。

でも、本好きな人々や音楽マニアにとって、この物語(ドキュメント)は「出会えて最高にハッピー!」になる、飛び切り素敵な大作です。

日本語・英語のどちらもネイティブな著者は、アメリカで英語版をアメリカ人向けに出版した後、満を持して日本語版を執筆されました。

天野和子さんの聡明さにも唸らされますが、橋本邦彦さんの人間性の偉大さは、レナード・バーンスタインに愛されて当然と言わざるを得ない、心底崇拝したいお方です。

著者の忍耐力と橋本さんのプライバシー公開への苦悩など、読めば読むほど、その壮絶さがひしひしと伝わってきます。

私は音楽家ではないので、バーンスタインの偉大さを正確には理解しきれていないとは思うのですが、人間として、これほど多くの人々に深く敬われ愛された存在は、本当に本当に稀有でしょう。

存命中にバーンスタインが指揮するコンサートを拝聴できなかったことが、心の底から悔やまれます。

小澤征爾さん、佐渡裕さん、他、私がリアルにコンサートでお目にかかった偉人たちが、バーンスタインの愛弟子・孫弟子であるという事実は、もう「巨匠」というか伝説の偉人伝の主人公を通り越して【神】的に価値ある人物です。

いやあ、すごい物を読ませていただきました。良かった、本当に良かったです。

二村店長にお店で薦められた時、お値段に怯んで、図書館の本が空くまで辛抱強く待っておりました。

かなりのボリューム感ある本ですが、読みながらず~っと幸せに浸っていられました。

いろんな偶然に、ただもう「感謝!」です。