ちょっとマイナー(?)な2冊のご紹介

いつもひとりだった、京都での日々 ソン・シンイン著

私の生徒さんに可愛らしい司書さんがいらっしゃいます。今日は彼女からお借りした、私には珍しい2冊。このようなセレクトは、ミーハーな私ではちょっと思いつきません。 

台湾人の著者が、2年間京都に留学していた時の思い出を綴った、素敵な出会い満載のエッセイ。それが「いつもひとりだった、京都での日々」宋欣頴。「幸福路のチー」という映画の監督として、注目されているようですが、不勉強ですみません。観ていません。

京都と言えば、世界中から観光客が集まる超有名都市ですが、著者の目はいつも、ひっそりと目立たない場所に向いています。それらがとても魅力的で、私もぜひ訪ねてみたいと思わせるのですが、既に閉店していたり、解体されていたり。一筋縄ではいかないスポットばかりです。

原作の言葉選びがきっと素晴らしいのでしょうが、光吉さくらさんの訳が、また温かくコミカルで、読むと、やさしい気持ちになれます。日本語講師としては、こんなチャーミングな生徒に会えるなら、教える方も本望と思わせる作品。いい出会いでした。

みぎわに立って 田尻久子著

もう1冊は、熊本にある橙書店という本屋さんの店長が書いた、新聞連載をまとめたもの。熊本地震の前後を含め、きっと怒濤の日々であったはずなのに、著者のお人柄がしのばれる、しっとり落ち着ける本です。岩田書店にしろ、この橙書店にしろ、私の食指を刺激してやまない本屋さんが、遠い地方にあるのは、日本も捨てたもんじゃない、まだまだ訪れる価値のある場所はた~くさん在る!と思わせてくれ、とても嬉しくなります。

何かというとAMAZON に頼りがちですが、やっぱり本屋さんは不滅です。図書館と書店、このお気に入りの場所に、今年も足繁く通い、飛び切りの本に出会いたい。そう思わせてくれた2冊でした。