架空の未来か現実か、誉田哲也・背中の蜘蛛

背中の蜘蛛 誉田哲也著 あくまでも小説と思いたい・・・

もし、自分の携帯電話の通話が全て警察につつぬけだったら。恐ろしい仮定の話をリアルに組み立てた小説、と言ってしまうと、ネタバレになるんでしょうか(すみません)。

東野圭吾氏の著作に「プラチナデータ」があり、映画化もされていますね。これは一般市民が自分で納得してDNA情報を警察に提供し、犯罪検挙に役立てる、とまあ、壮大な仮想ミステリーです。小説上での実験とでも言えるでしょうか。もし警察が全国民のDNA情報を掌握したら、どんな事態が起こりえるか? 想像するだにオソロシイ話です。

コロナ禍で特別定額給付金の振り込みが、なかなか進まず、各マイナンバーに一銀行口座をひもつけしては、という意見が出ていました。マイナンバーでさえ、国民全て背番号付きと悪評が高いのに、銀行口座までつないだら、国にあらゆる個人情報を把握されかねず、非常に由々しき問題です。

電話の他愛ない話も全て盗聴されているとなったら、おちおち欠伸もできません。いやそんな問題ではなく、もうゲシュタポの世界になってしまうでしょう。

中国の悪口を言うつもりはないのですが、先日も天安門事件の映像が流れそうになると、テレビが真っ暗になったという報道を聞くにつけ、一党独裁・権力集中の怖さに慄然としてしまいます。日本は自由主義ですよね。表現の自由と知る権利とプライバシーが、それぞれきちんと守られている社会なんですよね。

今日もスパムメールが届き、その内容は「バイアグラ、入手できます」というイギリスからのもの。私の性別を把握していないな、と(女性でも買う人がいらっしゃるかもしれませんが)思い、単なる”下手な鉄砲撃ち”だと安心しておりますが、これがもし私の個人経歴などを特定してのものだったら、脅威的な話になりえます。

「背中の蜘蛛」を読みながら、果たして本当にこの世の中は無事なのだろうか、無線で、ネットで、つながることの怖さを思い知らされずにはいられませんでした。注意してお読みください。