「ルポ 誰が国語力を殺すのか」石井光太著 恐ろしい現実が綴られています。

ゲームに耽溺する子供たちを憂いていました。本を読まない人たちに、マンガでもいいから「紙の本」に触れてほしいと切望していました。まず「自分で考える」習慣をできるだけ多くの人に身につけてほしいと願っていました・・・

それが、こんなオソロシイ状態になっているとは!

このルポタージュを読んで、本当に愕然としました。日本だけでなく、世界中が危険水域かもしれません。

国語力、これがどれほど大事なモノであるか、そしてそれがどのように培われていくものなのか、無関心な人が増え過ぎたようです。

国語力の中核をなす「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」これらが身につかなかったために起きた悲劇はあまりに無惨です。

文科省のエリートたちが、自分のものさしだけで国語力の形成過程を判断し、あの「ゆとり世代」が生まれた・・・

別にゆとり世代を非難・卑下する気持ちはありません。ある意味、彼らは犠牲者であり、気の毒な烙印を押されて生きづらさに苦しんでいる人たちです。

ただ、実際にゆとり教育を受けた世代、また、その子供たちに、著しい国語力欠如が見られ、それが基で犯罪が頻発しており、しかも、その犯罪の意味を本人が自覚していない、というのは《大問題》です。

ネットリテラシーが叫ばれていますが、誹謗中傷がなくなったのではなく、陰湿化しているのです。悪いことを考える人は、さらに上の悪事を企む。なぜ良い方向へその思考が向かないのでしょうか。それほどまでに陰惨で不幸な生い立ちを背負っているということなのですか? 想像するだに辛いです。苦しいです。そして悲しいです。

本書で冒頭に語られている「ごんぎつね」が正しく読めない小学生、そのような児童がごく少数ではなく、八分の五を占める、と聞いたら、危機感を覚えていただけるでしょうか。

もちろん、対策を講じている学校も存在します。一方的に恐怖心を煽るようなルポではなく、前向きな取り組みもきちんと紹介されています。

とにかく読んでほしい。帯に「全日本人必読の書」とありますが、全く大げさではなく、まさにその通り!!! 国語力再生は喫緊の課題です。