北川裕子さん、ぜひ師匠と呼ばせてください!

日本語講師を目指して勉強していた時、「外国人集住都市会議」という言葉と出会い、具体的にどこがこの会議に参加しているか、などもしっかり頭に叩き込んだ記憶があります。

でも能代市という地名には出会いませんでした。そもそも東北というエリアは、かすってもおらず、大きな工場があり、技能実習生を大勢受け入れているような、第二次産業が中心の町ばかりでした。

秋田県にある能代市。今、考えると「それって人身売買とちゃう?」と言いたくなるような、市が中心となった、ある意味《身勝手》な政策だったように思います。

確かに第一次産業、特に農業の人手不足は深刻で、日本の食を支えてくださっている農家の方々は、後継者をつないでいくために必死だったのでしょう。

フィリピンや中国、ロシアなどから、嫁にきてくれる女性を招き入れ、農家の後継ぎを産んでもらうべく、渡日させたのでした。

私は《日本語を外国人の嫁が身につけたら、逃げられる恐れがある》というまるで人身御供を囲っているような狭量な夫たちに関する記事ばかり読んだ記憶があったので、この「外国にルーツを持つ女性たち」という本との出会いは、とってもハッピーなものになりした。

来てくださったお嫁さんたちは、もちろん前向きで向上心が高く周囲への感謝の気持ちも忘れない、ホントに素敵な女性達ばかりなのですが、夫の人柄も、また素晴らしいのです。多分、志が高い人には、そういうパートナーを引き寄せる磁力が備わるのでしょう。

異人種が入ると、先住民はまず警戒するものです。その心理は分からないではありません。でも、積極的に外国人を嫁にするために連れてきた町の人たちが、そんな排他的だったら、目もあてられません。

嶋田和子さんの取材は、ご自身が日本語教師でもあるため、北川裕子さんの希有な包容力と日本語講師としての才能を、深く深く理解されており、とても感動的なドキュメンタリーと言える本に仕上がっています。

ここまで一人一人の学習者に真摯に向き合い、正確に彼らの要望や悩みを読み取り、的確に、そして愛情深く成長を助けてきた北川先生。

心から見習いたい、今すぐにでも会いに行きたい、とても魅力的な先生でいらっしゃいます。

第2部の子供たちに関するドキュメンタリーは、多くの問題を現在も日本各地で孕んでいる、早急に手当てすべき、大切な事例が提示されています。

教育を蔑ろにしている日本政府の失態が、能登の地震で、今後さらに暴かれていく気がします。能登地方を中心に、今回の地震で被災されている大勢の方々に衷心よりお見舞い申し上げます。

北川先生の愛情をいっぱい受けて日本語を身につけた女性達や子供たちが、自然災害の多いこの日本という国で、力強く生きていってくれることは、明るい未来を見せてくれるようで、希望が持て、本当にありがたいです。

北川裕子先生、ぜひぜひお会いしとうございます。