老々介護の傾向と対策

へろへろ 鹿子裕文著 大爆笑間違いなしの実話です。

我が家は70代の母が80代の父を介護している老老介護状態。父は尿意を全くコントロールできず、オムツ代が家計を圧迫しています。購入時はクーポンを使ってなるべく価格を抑えますが、使用量も半端なく、夏はごみ問題、とりわけ臭い問題が頭痛の種です。

そんな我が家での私の役割は、母のガス抜きを手伝うこと。もし、2人ともまとめて介護するなんてことになったら、目もあてられないので、適度に援助し、母がカラオケに行きたいと言えば、笑顔で送りだします。

ところがコロナは、カラオケ屋さんで特に悪い評判が立っているようで、ここ数カ月、母はマイクを握っていません。ストレスをパッチワークと読書で発散して、なんとかバランスを保っています。

その読書にオススメしたのが、この「へろへろ」。”宅老所よりあい”という実在の老人ホームの雑誌『ヨレヨレ』をまとめて書籍化したものです。

とにかく笑えます。笑ってはいけない場所でも「クククッ」とこらえきれず声がもれ、遠慮のいらない場所なら女性でも「ガハハハ」と豪快に笑いそうなくらい、めちゃくちゃ面白い本です。母の強いストレスも、これでおさまりました。

中でも下村恵美子さんというキャラクターは強烈です。困っている老人がいるから助ける。それだけのシンプルな理由で、老人ホームを文字通り「いち」から作ったのです。”欲がない”というのは、ものすごく力があるようで、資金から土地から人材集めまで、ただ「人助け」のために尽力する。こんな人がそばにいたら、この私でさえ一肌脱ぎたいと考えたことでしょう。

超個性的な人々が、前代未聞の特別養護老人ホームの開設を目指し、あらゆる困難を、笑いと知恵と勇気で乗り越えていく、実録痛快エッセイ。元気がない時、特に介護で疲れている時には、絶好のカンフル剤になります。お手元にぜひ1冊どうぞ。