所在地の教育委員会に企画書を提出したところ、地元の企業で働く外国人技能研修生の日本語を教える仕事を賜り、早2期目が終わりました。
12月にJLPT(外国人が受ける日本語試験。日本人の英検みたいなものです)がありますが、果敢にN2(上から2つ目のレベル)を目指す一学習者に文法のテキストを貸してあげました。インドネシア人のその彼に、朝日新聞で見たインドネシアの伝統食・テンペの話をしたところ、律義な彼はテキスト返却時に「プレゼントです」と冷凍のテンペをくださいまして。。。
テンペ。ご存じな方は少ないでしょうね。ゆでた大豆をバナナの葉に生息しているテンペ菌で発酵させたもので、納豆のようなニオイはなく、硬さは豆腐と納豆の中間辺りといったところ。
豆のつぶつぶがうっすらと見えるでしょうか。煮る・焼く・揚げるとなんでもOKな食材で、本日のランチの調理係を拝命した私は、テンペ入りチャプチェなるものを作ってみました。
初めての食感で不思議な味わいでしたが、おいしくいただくことができました。
いつもの本や語学はどうしたんや? となりそうですが、続きがあります。彼の後輩にカンボジア人の若い女性3人が入社したのです。その女性たちの前情報が「クメール語しか話せない」「職場ではアプリの翻訳機能と身振り手振りで、なんとか意思疎通を図っている」という内容。日本語講師様ヘルプ!!! というご用命。
授業1日前の情報で、とりあえずクメール語の本を図書館でみつけ、その本で使えそうなセンテンスの音声を確認のためパソコンで調べ、語学授業の基本用語をリストアップし、と八面六臂で準備しました。
ところが、授業で最初に自己紹介をさせると、あやしい発音ながらも正しい日本語できちんと名乗るではありませんか。
3対1の授業を始めてみると、挨拶も日本語の複雑な日付(ついたち、ふつか、みっか・・・はつか)もちゃんと言える、1分・2分の「ふん」「ぷん」もきちんと言い分けられる。用意した教材はすぐにお蔵入りし、必死のパッチで思いつく限りの初心者向けレベルチェックをしたところ、入門レベルはしっかりクリアしているとみて、問題なさそう。英語も簡単な意思確認に必要な単語は十分理解可能なのでした。
さて、クメール語という言葉。カンボジアではほとんどの国民が英語を話す、という説明を読んでいたので、ものすごい辺境地の教育が行き届いていないエリアからの出稼ぎか、と勘ぐっておりました。でも冷静に考えれば、日本語レベルが低すぎる実習生は入管ではねられるわけで。現地語であるクメール語を、目の前で3人の女の子たちがしゃべっておりましたが、言葉が云々というより、書籍が少ないのです。あとで調べたら、頼みの「みんなの日本語」シリーズにもクメール語はないとのこと。
んなこと言ったって、スマホで翻訳できるじゃん、と反論されますが、グーグル翻訳の精度は低すぎます。コミュニケーション齟齬が起きていたのも、それが原因のようです。簡単な日本語をゆっくり伝えた方が、誤解は少なかったのに。
まあ、日本語教育の大切さを雇用主に認識していただけたことで、今回は良かった良かった。
で、図書館でみつけたクメール語の本。泰流社の「クメル語入門」戸部実之著は消費税3%の時代・1989年発行で、お値段6180円也! 115ページの薄い本です。公共図書館ってありがたい。と拝み倒した1日でした。